上海・大阪 都市再生
国際シンポジウム
フォーラム開催概要
| 日時 | 平成17年11月3日(木) 13時00分~18時00分 | |
| 主催 | 中国同済大学 | |
| 共催 | 大阪市、大阪市都市工学情報センター | |
| 場所 | 同済大学 科学苑(住所 上海市四平路1239号 TEL(021)65983611) | |
| 参加費 | 無料 | |
| 目的 | 「21世紀の新たなまちづくりを進めている上海と大阪の都市開発をテーマに、その課題と解決策について論じるシンポジウムを開催します。また、中国と日本の双方で活躍できる都市開発技術者の育成を目指した同済大学/大阪キャンパスについて、その開校に向けた取り組みもあわせて紹介します。」 | |
| プログラム | 13:00 | 開会式
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| 13:30 | 講演
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| 18:00 | 閉会 | |
講演内容骨子
テーマ1 上海の都市開発の課題と大阪都市再生の取り組み
(1)上海都市文化財の基本状況と保護策
講演者:張 松(同済大学 建築と都市計画学院教授)
巨大都市が形成されている上海では、現在都市化の速度が非常に高く、その結果として歴史文化の破壊が起こっている。上海には国の重要文化財が16箇所、市の重要文化財が114箇所にあり、それらを保存することが急務である。
そのような背景のもと、「保護弁法」が1991年に、「保存条例」が2002年に制定されるとともに、「上海市歴史文化風貌区と優秀歴史的建築保存条例」が上海市政府より公布され、バンド地区等が「歴史文化風貌区」に指定された。現在「歴史文化風貌区」は上海市の中心部(浦西地区)の約21%の面積を占めており、保護活動を進めているところである。
なお、近年では、上海市においてはさらなる厳格な制度作りを実施しているほか、同済大学には「歴史保存工学学科」等を設置する等により、さらなる歴史の保存活動を推進している。
(2)大阪市の都市再生の取り組みと都市再生における大学の役割
講演者:篠原 祥(大阪市 都市再生本部事務局担当課長)
大阪市では近年の人口の減少、大学の減少、事業所・従業員数の減少を受け、これらを増加、誘致することが課題となっている。そのために大阪市では都市再生のシティプロモーションを推進しているところである。
まず、人口問題については、最近特に都心部で回復傾向にあり、これを維持していくことが課題になっている。次に大学の問題であるが、おおさか文楽通り整備事業等により文化・学術の都心回帰を図っている他、大学院(社会人向け)のサテライトキャンパスが都心に回帰傾向にあり、今後も推進していくことが課題となっている。また、事業所・従業員数の問題であるが、「ロボットテクノロジー」「健康・予防医療」「IT関連(ユビキタスネットワーク技術)」を重点産業クラスターとして位置づけたほか、都市再生重点産業立地促進制度等により、都心部への産業立地の促進を図っている。
このような中で、大阪市への大学誘致は、産官学連携による重点産業分野の振興や知的創造活動機会の創出を図るためにも大変意義が大きいものである。
同済大学大阪キャンパス誘致は、都市再生を推進している大阪にとって、上海市場への大阪企業の進出促進、上海企業・人材の大阪への誘致促進、関西の大学の国際化の促進を図る上で重要なものと考えている。
テーマ2 新技術による都市問題の解決
(1)現代交通の新技術とその使用について
講演者:楊 暁光(同済大学 交通輸送工程学院教授)
都市建設を推進していく上で「生態と緑化」「交通」「建築」の3分野を融合させながら推進していく必要があると考えているが、中国では「交通」に対する配慮がこれまで欠けていたと考えている。特に渋滞対策、事故対策を実施していく必要がある。上海では2010年に一通りの都市建設が終わるが、今後も交通需要は供給を大きく上回るものと考えられており、交通問題は単なるインフラの整備だけでは解決しきれなくなってくると考えている。そのため、今後は環境、生態、安全性、経済性、人との親和性等に視点をおいて新技術を開発していく必要があると考えている。
そのような中で、同済大学では、高架橋を建設せずに交通を円滑にする交差点改良の検討に関わってきたほか、海外の事例(例:低床バスの導入)等の研究を行っているところである。
(2)近代化する都市の問題と解決方法(大阪のまちづくり)
講演者:大田 俊美(大阪市都市工学情報センター常務理事)
大阪市では都市再生の一環として、関西の発展をリードする新しいまちの形成を目指して、大阪駅北地区の開発を推進している。
北梅田の開発の中で検討されているもののひとつにナレッジキャピタル構想がある。それは、ロボット、ユビキタス・ITなどの先端技術分野と、事業へとつながる感性・感覚(ソフト系)分野、それらの分野を担う人材を育てる学習・教育分野を対象領域とした知的創造拠点であり、北梅田地区のコア機能として期待されている。
また、大阪駅周辺は多くの交通機関が集中する交通結節点であること、公共交通機関は8路線が集中し、乗降人員は1日250万人と大変多いこと、国道1号等、幹線道路も集中し、自動車交通も多いこと、北梅田の開発をはじめ民間開発も進展していることを踏まえ、北梅田開発では歩行者の移動支援、自動車の誘導に、ITSを活用することを検討している。
具体的には、歩行者の移動に関する案内情報提供として経路案内・位置案内・まちの情報・安全情報等を、自動車の駐車場対策としてITSによる駐車場の誘導・駐車場の予約システム・DSRCシステムの導入等を検討しているところである。
テーマ3 国際的な人材の育成
(1)中国の人材育成と国際協力
講演者:楊 東援(同済大学副学長)
現在中国が取り組んでいる事項に省エネルギー技術と、土地資源の節約に関する技術があるが、どちらも世界的に問題となっている事項である。
また、このような問題以外に、例えば現在大阪で直面している問題は、将来の中国での問題にもなることが想定されることから、今後は大阪が対処してきた課題についても目を向けるべきであると考えている。
今後の国際的な人材には、上記のとおり、他国の技術を積極的に取り入れることができるとともに、異国の文化について十分認識できることが重要であると考えている。同済大学ではこのような国際的な人材の要請に積極的に取り組んでおり、そのひとつとして現在ドイツ、フランスに分校を設置し、教育を行っている。また、同済大学では諸外国の大学間とのネットワークを構築し、さまざまな交流を行っている。
大阪キャンパスには日本との交流の基地となることを期待しており、そこでは大学院生の教育及び日本の社会人向けの教育を行うことを検討している。
(2)企業が必要とする国際的な人材の育成について
講演者:西田 健一(丸紅株式会社理事)
企業が求める人材の育成とは、「ビジネスプロフェッショナルの育成(ビジネス全体をマネジメントできる人材、内外に発信できる高度な専門性を持った人材、経営全般を行える人材)」「ローカリゼーションの推進(各地区に精通した人材の登用)」とまとめることができる。
そのような中で国際的な人材育成を行うために、丸紅ではOJTを基本とした社員教育のほか、社内に丸紅プロフェッショナルスクール(商社ビジネスの基本知識と応用方法)、丸紅エグゼクティブスクール(マネジメント層に対しての会社運営の方法)というビジネススクールを設置し、人材育成を図っている。国際的な人材育成を行うためには大切なことは、このように知識を習得する機会を与えることであり、その教育の場は、大学でも企業内でもよいと考えている。
今後中国ビジネスが日本で拡大していく中で、日本の企業から中国語や中国のビジネスに関する情報がさらに求められるようになると考えている。そこで同済大学大阪キャンパスには中国のことを学ぶ場所となり、ここで学ぶ人が中国ビジネスを育て、日中両国に恩恵をもたらすことを強く期待している。
